ゴールデン・シニア・トリオ
鍋島直昶 (ヴィブラフォン), 大塚善章 (ピアノ), 宮本直介 (ベース)
Old School
Soon Kim (サックス), 壱太郎 (和太鼓), 井野信義 (ベース)
9月22日 (木・祝)
18:30開場 / 19:00開演 / 2,500円 (1ドリンクつき)
長寿の秘訣はジャズ。世界最高齢(現在合計251歳)のバンド*としてギネスブックに登録されている関西のジャズバンド、ゴールデン・シニア・トリオ。メンバーの鍋島直昶(ヴィブラフォン・90歳)、大塚善章(ピアノ・82歳)、宮本直介(ベース・79歳)のジャズ活動歴は日本の「戦後」史全体をカバーしており、それぞれが自身のグループやソロで活躍する超達人。しかしこのトリオ自体はまだ8歳と若く(2008年9月18日結成)、ドラムレスのユニークな編成は、3人の緊密な連係を要求しつつ、柔軟な展開を可能にもしています。トリオとしては初の東京公演。
*「この記録が凄いのは、世界最高齢のジャズ・バンドというのではなく、世界最高齢のロック・バンドというのでもなく、あらゆる音楽において世界最高齢のバンドという点です。その条件となるのは、最低でもアルバム1枚を販売していて、過去5年間に45分以上のコンサートを20回以上行なっていること、というプロフェッショナルであることが必要になりますから、想像してもらえばかなり大変な条件だということがわかると思います」(ギネス世界記録ウェブサイトより)
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私としては、死んでいるよりは人間でありたいと思います。そして人間であるために死のうとも思います。だから死ぬことはできません、どちらになるためにも死ぬことはできません、何を言おうと何を考えようと、だから私は音楽それ自体が、音、意味、知性との関係において永遠だと思うのです...
(オーネット・コールマン、グラミー特別功労賞受賞スピーチより試訳)
昨年85歳で他界したオーネット・コールマンに直接学び、彼の理論=実践「ハーモロディクス」を会得した大阪出身のサクソフォニストSoon Kim。いまだその全貌は謎に包まれているハーモロディクスは、彼にとって、演奏者を裸にし、自分の求める音をクリアに認識させ、音楽のコントロールを可能にする思想だといいます。
Old Schoolは、そのSoon Kimがオリエンタリズムとは無縁かつオリジナルな「ユーラシアのハーモロディクス」を追求するため結成した新しいトリオ。メンバーは井野信義(ベース)、壱太郎(和太鼓)という国際的実力派。このメンバーでは今回が初の演奏となります。オールドスクールとは名ばかりの現代的演奏にご期待ください。
(写真左から右へ)
鍋島直昶
1926年東京都生まれ。神戸在住。ヴィブラフォン。4歳からヴァイオリンを大岡運英に師事。13歳頃、和田肇のジャズピアノに傾注しピアノを独学。海軍航空隊復員後、慶応義塾大学予科入学。戦後、プロのドラマーとして活動開始。25歳の時、仙台米軍キャンプでヴィブラフォン奏者エミル・リチャーズ(ex. ジョージ・シアリング・クインテット)と出会い、2年間師事。26歳で自身のクインテットを編成。仙台、青森、琵琶湖などの米軍キャンプでの演奏を経て、1959年に関西に定住。1971〜72年、ロイヤルホテル(現・リーガロイヤルホテル)のセラーバーに出演。1983年から現在まで、クラブ花屋敷を中心に関西のライブハウス、ホテル、フェスティバル、テレビに精力的に出演。1996から99年にかけてニューヨークに研修旅行を重ね、1997年にはピッツバーグジャズ祭に出演、また、「SWING SWING KOBE JAZZ」を高橋俊男とプロデュースし、好評を博した。1999年、リーダーアルバム『When I Grow Too Old to Dream』発表。
大塚善章
1934年大阪府生まれ。ピアノ。大阪府立高津高等学校2年生の秋、機会があり校歌を作曲。これが作品第1号となり、現在も歌い継がれている。関西大学在学中にジャズ演奏活動を開始。1959年、古谷充(アルトサックス)とともにジャズグループ「THE FRESHMEN」を結成、グループの中心的存在として活躍しながら、映画、TVドラマ、CMなどにも多くの作曲を行なう。退団後は、自らの音楽世界を構築するため多彩な活動を展開。とりわけライフワークとしてカンタータ『上町台地』シリーズの作曲を開始、現在第7作に取り組んでいる。能面の美しさにインスパイアされ作曲した『組曲・面(おもて)』はCD化され、1998〜99年にモントルー・ジャズ・フェスティバルなどヨーロッパでも発表し、高い評価を得た。2006年、満を持してソロアルバム『BE AMBITIOUS』を発表。近年は、鍋島直昶、宮本直介と共にゴールデン・シニア・トリオを中心に活動。現在関西ジャズ協会会長。
宮本直介
1936年兵庫県生まれ。ベース。関西学院大学在学中から若手ベーシストNo.1といわれ活躍。1960年にジョージ川口に抜擢され「ビッグフォー・プラスワン」に参加。東京で活動し、渡辺貞夫、宮沢昭、高柳昌行、佐藤允彦などと共演。その後関西に戻り、自身のグループで活動を続けながら、来日したウエイン・ショーター、シダー・ウォルトン、カーティス・フラー、フレディー・ハバード等とのセッションに参加。特にベースのレジー・ワークマンとロン・カーターからは絶大な影響を受け、現在でも親交が深い。1989年にブルーノートの日本フランチャイズを実現させ、1993年にはルイス・ナッシュのファーストアルバムを制作するなど、プロデューサーとしても活躍し、2004年より西宮ジャズ3DAYSの総合プロデューサーを務める。代表作に『Step!』(1974)『Poisonous Apple』(1981)『City Breeze』(1988)『Gotta Get Ready』(Vol.1 & 2、2000)『Hip Bop Plays Love Standards』(2005)など。現在関西ジャズ協会副会長。
(写真左から右へ)
Soon Kim
大阪府出身。15歳よりアルトサックスを始める。 高校卒業後、ロック、ブルース、レゲエ、ジャズバンドで活動。23歳で渡米しニューヨークのハーレムに居住、オーネット・コールマンのもとでハーモロディクス理論を学び、ハーレムでのセッションを中心に活動。アメリカ、ニュージーランド、ドイツでハーモロディクスを元にした独自のアイデアを構築しつつ活動し、『Non-Transposed Music』(1989)『Soon Kim Trio & Quartet』(Konnex Records、2007)『Non-Transposed Sense』(同、2009)『Hotel the Strasse』(サンノースレコード/地底レコード、2014)を発表。近年は東京都八王子市を拠点に、和太鼓を取り入れた「Old School」、大鼓(おおつづみ)を取り入れた「MURASAKI」、ヴァーノン・リード、カルヴィン・ウェストン、アル・マクドーウェルらと結成した「Tower of Funk」などのプロジェクトを展開。
壱太郎
三重県出身。1990年、鬼太鼓座に入座し、座の創設者・田耕(でんたがやす)に師事。同年から1993年まで、4回のカーネギーホール公演を含め、全米の主要都市にて約500回の公演に参加。その後、座の中心的メンバーとして、国内外で2,000回以上の舞台を務める。2004年、鬼太鼓座より独立しソロ活動に入る。2006年、東京文化会館にてソロコンサートを開催。以来、ヨーロッパ、アフリカ、中東、南米、アジア各地を精力的にツアー。2015年、東久邇宮文化褒章受章。邦楽器にとどまらず、オーケストラ、ジャズ、ロックなどとのコラボレーションにも幅広く取り組み、CD『ichitaro』(2009)『ichitaro #2/風のメロディ』(2013)『ichitaro #3/Cruise』(2015)をリリース。
井野信義
群馬県出身、東京育ち、暁星高校卒業。在学時よりクラシックのコントラバスを学びながらR&Bバンドでクラブに出演。1971年、高柳昌行に出会い、ジャズに進出。1980年、高柳昌行ニュー・ディレクション・ユニットとメルス・ジャズ・フェスティバル(ドイツ)に出演。1981年、初のリーダーアルバム『マウンテン』(日本コロムビア)を発表。国内の非常に多くのミュージシャンと共演しながら、海外での活動を展開し、エルヴィン・ジョーンズ、レスター・ボウイに高く評価され共演。また、ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラ、グローブ・ユニティ・オーケストラのレギュラー・ベーシストに抜擢される。1997年よりソロ、99年より齋藤徹とのデュオを開始。2005年、橋本一子、藤本敦夫と「Ub-X(ユビークス)」を結成、『Ub-X』(イーストワークス、2006)『Vega』(同、2007)を発表。