マイケル・スノウ + 恩田晃 + アラン・リクト
史上最大の実験映画作家が率いる、最新最強の即興演奏トリオ
『波長』(1967)『中央地帯』(1971)『The Living Room』(2000)などの大傑作で知られる実験映画作家マイケル・スノウは、画家、彫刻家、ヴィジュアル・アーティストでもあり、1950年代にプロデビューしたジャズ・ピアニストでもあります。ジェリー・ロール・モートンやジミー・ヤンシーの影響下にディキシーランド・ジャズから活動を開始し、主に映画作家、ヴィジュアル・アーティストとして活動したニューヨークでは自身のスタジオをセッション会場としてポール・ブレイ、カーラ・ブレイ、ミルフォード・グレイヴス、セシル・テイラーなどに提供、映画『New York Eye And Ear Control』(1964)ではサウンドトラックにアルバート・アイラー、ドン・チェリーらを起用し、フリー・インプロヴィゼーションの潮流を作り出しました。その後もトロントを拠点にCCMC(The Canadian Creative Music Collective)や音楽家でなく画家、彫刻家などからなるArtists’ Jazz Bandを通して、米国やヨーロッパのフリージャズ・シーンとは一線を画す、知性とユーモアと直観に溢れた演奏活動を継続。「映画作家として絵を描き、音楽家として彫刻を作り、画家として映画を作り、映画作家として演奏し、彫刻家として絵を描き、映画作家として彫刻を作り、音楽家として映画を作り、彫刻家として演奏する」というスノウは、しかしジャンルを決して混同せず、各ジャンルの特質や根本的矛盾を最大限に露呈させ、私たちの知覚を刷新するような活動を精力的に展開しています。ジャズの歴史を横断し、85歳にして最新の音楽を追求している現役ミュージシャン、約25年ぶりの来日です。今回は2005年に結成され、2008年にはアルバム『Five A’s, Two C’s, One D, One E, Two H’s, Three I’s, One K, Three L’s, One M, Three N’s, Two O’s, One S, One T, One W』を発表したスノウ(ピアノ、CATシンセサイザー)、恩田晃(カセットレコーダー、エレクトロニクス)、アラン・リクト(ギター)のトリオをご紹介。11月5日はスノウのピアノソロ、6日は単独で『Everydays』(2008)をリリースしている恩田、リクトのデュオも合わせてお送りします。ソロ、デュオ、トリオで全く違う音楽性。ぜひ2日通してご来場ください!
マイケル・スノウ、恩田晃、アラン・リクト
スペシャル・トーク「音楽/サウンド/アートの向こう側」
司会:畠中実(ICC)
日時:11月3日(月・祝)14:00
会場:NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)4階特設会場
定員:200名(当日先着順)
入場無料・日英逐次通訳つき
主催:NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
マイケル・スノウ(ピアノ、CATシンセサイザー)、恩田晃(カセットレコーダー、エレクトロニクス)、アラン・リクト(ギター)|ピアノ協力:タカギクラヴィア株式会社|音響:葛西敏彦、近藤聡子|照明:竹松陽子|舞台:柴田果奈子(WWW)|記録:早坂亮輔(映像)、原真人(録音)、前澤秀登(写真)
マイケル・スノウ
カナダ生まれ。1950年代にプロのジャズ・ピアニストとして活動を開始し、60年代には『Walking Woman』の図像やジャンルそのものを定義し直すかのような「構造映画」『波長』でヴィジュアル・アーティストとしての評価を確立。1964年に映画『New York Eye and Ear Control』のサウンドトラックのためアルバート・アイラーらを起用し、フリー・インプロヴィゼーションという形式の確立に寄与。自身もインプロヴァイザーとして音楽の探求を続ける。エヴァン・パーカー、ラズウェル・ラッド、デレク・ベイリー、トニー・コンラッドなどと共演するほか、CCMC(スノウ、ポール・ダットン、ジョン・オズワルド)の創立メンバーでもあり、ソロ・コンサートも活発に行っている。写真、ヴィデオ、映画、絵画、彫刻作品は世界各地のギャラリーや美術館で展示されている。
エレクトロニック・ミュージシャン、作曲家、ヴィジュアル・アーティスト。奈良県生まれ、ニューヨーク在住。とりわけ、20年以上に渡って録り溜めたフィールド・レコーディングによる「サウンド・ダイアリー」を用いるプロジェクト『カセット・メモリーズ』で知られる。カセット・ウォークマンを楽器として使用。ウォークマンでフィールド・レコーディングを行うだけでなく、複数のウォークマンをエレクトロニクスとともに操りパフォーマンスを行う。近年はジャンルを越境した活動に注力し、映画作家やヴィジュアル・アーティストとのコラボレーションも多い。現在進行中のコラボレーションに、ケン・ジェイコブスとの『ナーヴァス・マジック・ランタン』、鈴木昭男とのサイト・スペシフィック・ハプニング、ラハ・レイシニャとのオーディオヴィジュアル・インスタレーション/パフォーマンスなど。
アラン・リクト
ミニマル・ミュージック、インディー・ロックからフリー・インプロヴィゼーションまで、75を超えるレコーディングに参加。現在、リー・ラナルド・アンド・ザ・ダストのギタリストであり、コリー・アーケンジェル、ハウィー・チェンとの「トーク・ロック」バンドTitle TKでも活動。『サウンドアート — 音楽の向こう側、耳と目の間』(フィルムアート社、2010/原著2007)の著者、『Will Oldham on Bonnie ‘Prince’ Billy』(Faber & Faber / W.W. Norton、2012)の編者でもある。長年のファンとして、マイケル・スノウに1990年代後半にインタビューしたことがきっかけで、カナダやシカゴのフェスティバルでともに演奏するようになる。同じ頃、恩田晃とのデュオを開始(アルバム『Everydays』を2008年にリリース)。恩田の2003年のアルバム『Bon Voyage!』を聴いてスノウの映画を想起し今日に至る。